多摩ネット恒例 秋のバスツアー 今年は東京都の林業を視察

奥多摩は紅葉しない・・・杉ばっかりだから

 秋晴れの朝、シルバーの車体にイチョウを散りばめたピカピカの都バスは、奥多摩を目指して出発しました。多摩地域の森林は、戦後、大量の杉が植林されたものの、国産材価格の低迷により山林を管理しきれない状況です(奥多摩の森の多くが個人の土地ときいてびっくり!)。一方、地球温暖化は待ったなしで森林を減らすわけにはいきません。東京都はどんな対策をとっているのか、都の職員の案内で学習してきました。

 最初にうかがった東京ペレット製造工場では、専用のストーブに実際にペレット(おが屑を固めた燃料)を入れて点火。一瞬にして「ぶおーっっ」と温風が吹き出すガス・ファンヒーターに比べると、正直、うんともすんともいいませんが、炎を見ながらゆっくりと温まっていく時間は、「だってまだ、あったまらないんだもーん」と開き直りさえすれば、スローライフの第一歩。志ある市民が集まって作った会社でしたが、都の職員とのあうんの呼吸に、日頃のパートナーシップがうかがえます。

 この後の行程については「原田恭子」「武内よしえ」のHPで詳しく紹介していますので、そちらでぜひ。

 今回のツアーで私が感じたのは、お会いしたどの人も林業再生への熱い気持ちが溢れんばかりだということです。これは、東京都がいう「花粉をたくさん出す古い杉はどんどん使って、花粉の出にくい木に植え替えよう」という対処的なことでなく、森が元気に生き続けるために、古い木は切り出して使い、そこにふさわしい木を植えようという、森が好き、木が好きという気持ち。だからこそ、都心から離れた豊かな森が、都心で排出される二酸化炭素を吸収しているにもかかわらず「花粉症の原因」という汚名を着せられていることへの憤りもまた、伝わってくるのでした。

 奥多摩は遠かったけど、そこで切り出された木を使うことをリアルに考える、貴重な時間を持つことができました。参加した皆さん、本当にお世話様でした。