下水道特別会計を不認定~予算決算特別委員会の報告~

最終日、今年3月の内部通報の内容について市長から調査報告があり、不適切な事務処理と指摘された下水道事業のうち1件について、質疑しました。

議会後の駅遊説でも報告をさせていただいています。

これは、25年度~27年度の3年間にわたる東寺方ポンプ場改修工事(それによる振動や地割れなどに対する補償含む)が、まだ1件の補償が完了していないのに、当時の課長が完了したかのように装ったものです。契約差金を3月議会で減額補正する(余ったお金を戻す)ための苦肉の策だったのかもしれませんが、調査報告は、上司に相談せず何とかしようとした課長が、どんどん深みにはまっていく過程を浮き彫りにしています。

■経過

最終年度末に近づき、残り1件の補償が完了しそうもないことが業者から伝えられた課長(当時)は、とりあえず完了したことにして清算する「覚書」を交わし、自らが行う完了検査を「合格」としました。

部長決済もない「5月末日までには完了させること」という覚書は28年3月7日付。翌8日の議会では、市長が、減額補正と契約内容の一部変更(契約金額の変更 )を提案しています。市長は何も知らず「安く済んだ」という報告をしていることになります。

4月に課長が交代すると、業者から「委託契約は完了したことになっているが実際は補償は進まない。契約額の中の補償分をいったん多摩市に返したい。契約し直したい」との要請があり、初めて法務担当(文書法制課)が相談を受けました。先方は都の公社なので、あちらはあちらで、支払われているべき補償金が手元にある状態は困ったはずです。

法務担当から厳しい指摘を受け(ても)、5月には新規業務委託協定書なるものを交わし、6月、ようやく課長(当時)は部長(当時)に報告、部長はすぐに副市長(当時)に報告しました(いずれも当時)。調査報告書では、この時、部下の不適切な対応を食い止め処分を行う等、監督責任を果たさなかった副市長を厳しく指摘しています。これにより、またしても部長決済のない「延長協定書」が締結され、是正の機会は失われました。

■質疑

Q 議事録では27年3月8日の市長提案は、「契約を変更した、契約差金が出た」に留まる。執行部も背景を知らない提案であり腹立たしく恐ろしい。

A 3月補正は1月から査定が始まるため、一定の「見込み」で進む。しっかりした精査は重要だが、今回の課題は情勢変化へのリカバー。情勢変化の議会との共有、説明が今回の課題だ(企画政策部長)。

Q課長の部下である係長が、事実を知りながら部長に相談できなかったのはなぜかを考えるのが重要だ。上司より、守るべきは法令だ。

また、課長から相談を受けた文書法制課が市長、副市長と問題を共有することはできなかったのか。

A相談を受ける管理職の認識が大事。相談したくないと言われない管理者のマネージメントをしなければならない(下水道管理者)。

様々な法務相談の、その後の経過を知らせてと各課にお願いしている。件数が多く難しいが、理事者に進言できるような体制をつくっていきたい(総務部長)。

Q補償はいつ完了したのか。

A金銭的には、業者がずっと持っているわけにいかず、今年3月に裁判所に供託した。支払は終わっているが、相手方とは交渉している。

副市長に対する市長の任命責任はもとより、決算審査が終わったタイミングで調査報告を出す市長の姿勢は誠実ではありません。

役所の感覚では、金銭的には終わっている、29年度決算の審査対象ではないというのかもしれませんが、延長協定書の締結は28年度末日であり、29年度決算期間も生きています。

生活者ネット・社民の会と改革みらいの会の2つの会派は、29年度決算について「不認定」としましたが、退職した一人の職員による、いわば市長への直訴によって明らかになった多摩市組織の課題。「風通しよくする」を繰り返すだけでない、市長の本気度が試されています。

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