新年度予算可決…修正案に思う

昨日で3月議会の予算特別委員会が終りました。「みんなの党」(遠藤ちひろ議員、阿藤議員、桐木議員)と「いろはの会」(民主、白田議員、増田議員)の合計9人による修正案が出されましたが、結果は原案490億5700万円で可決しました。ほぼ全会派からの質疑と提案者とのやりとりは、忘れ難いものとなりました。

修正案は「公園用地買取と公園整備」を予備費にまわす(24年度予算では買わない)というものでした。「財政難だというのに、公園用地などを買ったら市長の改革のメッセージがぶれてしまう!誤ったメッセージを発してはならない!」というのが提案者の修正趣旨ですが、「今の多摩市に必要なのは非連続、つまり勇気を持って過去を断ち切ることだ!」との考えに対し、特に連光寺1丁目の公園用地については異議が続出しました。

地図では周辺に公園があるけれど…
当該地は、乞田川と大栗川の合流点より少し上流の、行幸橋下の小さな畑です。既に周辺の草地は市が所有しており、今回の取得によって公園にすることが、既に平成元年に「地区計画決定」されていました。乞田川沿いの道はNTエリア内では、見事な桜のトンネルの下を車の心配なく歩道を散歩できますが、「連光寺」に入った途端、歩道のない危険な細道になります。公園にする際には、その部分だけでもセットバックして道を拡げることができるでしょう。また付近には平らな公園がありません。地図上では付近には3つの公園がありますが、ある程度の広さがあり平らな公園は、乞田川と鎌倉街道を越えた先の階段下です。

都市計画法における「地区計画」の重さ
ニュータウンは、いわば用地買収が済んだ何もない土地に計画的に道路や公園を配置できましたが、こういうケースはそうあるものではありませんね。空き地だったところに突然マンション建設が始まったとか、周辺に馴染まない違和感のある建物、一軒家なのに不特定多数の人が出入りして騒々しい、みどりがない、道が狭い…こうしたトラブルが起きないように、土地や家を持つ人々が自分たちで話し合い、少しずつの制約を受け入れながら住環境を守る…これが「地区計画」です。行政が決めた計画と違い、土地所有者たちが決めるからこそ、重く扱われるのです。今回の土地の所有者は、この制約を受け入れ、公園にするために土地を売らずに固定資産税を払い続けてきたことになります。

自民、公明、共産、社民、ネット…みんなが「異議あり!」
財政難であることは議員だれもが同じ認識ですが、驚いたことに珍しく、残りの議員たちが一枚岩になって修正案に異議を示しました。
1.周辺に公園(というか広場)がない。
2.地権者は制約を受け続けてきた。
3.非連続=地権者だけでなく地域との約束を破ることになる。
4.子どもたちのために、公園に伴い安全な道路を。
5.地域の地権者により地区計画決定されている。

私は、やはり地区計画決定の重さと、市民と議会と行政の信頼関係を重くとらえました。「自分の土地を何にしようと勝手だろ」という自分ゴトを、話し合いによって、制約を受入れあうまでに地域ゴトに高めていく道のりは容易ではないでしょう(議会を見ればよくわかる?)。「非連続!」だけで約束を破ったら、市民と行政、議会との信頼関係はどうなるんでしょう。

提案者は、この予算計上を「誤ったメッセージ」と繰り返しましたが、可決したからには、市長は明るく力強いメッセージとして市民に届けなければなりません。おっ?連光寺・聖ヶ丘は、健康推進員が健康づくりウォーキングをやっていたのではなかったっけ?これからの時代、公園づくりは都市環境部だけで考える仕事じゃない!庁内横断のコンペでつくる公園…どうでしょうか!?

市政は目先のカネの話だけじゃない…そんなメッセージを、党派を越えて若い議員の皆さんに伝えようとした、ニュータウン40年の多摩市議会。カネにならない話し合いの積み上げがまちをつくり、自分のまちの議会をつくってきたことを肌で感じた予算最終日でした。