久しぶりの徒然日記

年が明けて3日目、皆さんはのんびりしたお正月をお過ごしでしょうか。

暮れから、有島武郎の『一房の葡萄』が手元にあって、何かの合い間をみてぱらぱらめくっています。男一人の子育て中に、子どもに読み聞かせる本がないと自分で書いた短編集ですが、私にとってお気に入りの一冊です(子どもも大好き!せがまれて何度読んだことか)。表題の『一房の葡萄』に始まり、『碁石を飲んだ八っちゃん』『火事とポチ』など、皆さんも、きっと一度はお読みかもしれませんね。

わかっているのにいけないことをした後の、先生の優しさ…、憎らしいと思った弟が死んでしまうかと思った時の狼狽…、火事騒ぎに飼い犬の安否を後回しにした懺悔の気持ち…。まさに「あるある!」…誰もが経験したことがありそうですね。ただ、子どもが直面した時の感情の大きな揺れを、どうしてこんなに細かに描けるのか、読む度に驚かされます。

恐ろしいとか心細い思いをしては「お母さま!」「お父さま!」と飛び込み、安堵できるのが当たり前の時代があったんですよね(ん、今もそう?いえいえ、みんながそうではありません)。子ども一人でもお湯を入れたら一食しのげて、靴下を使い捨てる時代と、お母さまや婆やが繕い物をするのを縁側で眺めることのできた当時を思い比べ、日本は本当に豊かになったのかなぁ?…と、疑問を抱かずにはいられない年の初め…です。

(写真は今日の夕暮れ。高校時代、お稽古事で多摩NTに通った私にとって、帰宅時に見る夕暮れの団地の灯りは、幸せの象徴に思えました。)