知的障がい者が「特定信書便事業」参入!

「地域で役に立ってる感じが嬉しいです。」

厚生産業常任委員会の視察で、佐賀県伊万里市に行ってきました。今回視察したのはNPO法人「小麦の家」。主にお菓子作りをしてきた知的障がい者の小規模作業所が、新たに許可取得をして始めた特定信書便事業の様子と市の支援や委託など、障がい者支援が、同時に地域での「公益」を生み出した例を見てきました。

「やってみたい!」信書便事業の事業許可を取得!
今までは郵政公社しかできなかった信書の送達が、03年から民間も参入できることになりました。伊万里市では信書は郵政公社、それ以外の連絡文書や回覧文書、チラシなどは、郵送料の節減や事務の効率化のため民間委託していましたが、これを機に、特定信書も民間にと考え、「やってみませんか」ともちかけたそうです。許可申請書類を揃えるだけでも、司法書士に頼めば数十万円かかるために他の団体が諦める中、県の担当者の力も借りて自力で成し遂げたとのこと。市は現在、年間250万で事業を委託しています。

「助けられたのは伊万里市です」
お話してくれた情報・広報課の担当職員が言いました。グレーゾーンでしのいでいた信書の扱いを「何とかしろ」と県からせっつかれても、やってくれる事業者はいない…事業許可を取ってまでやってくれるというのですから市にとっても本当に助かったというのです。障がいのある皆さんにとっては、屋内の仕事とのメリハリもつき、当初2〜3人のチームで始めたのが、僕も私も…とみんながやりたがり、今では全員!「区長さんに手渡すのが嬉しい」「頑張ってるねと声をかけてもらえるのが嬉しい」と充実しており、支援は公益にもなったと言えますね。

誰であれ資格に見合った対価
私たちが最も驚いたのは、厳しい財政状況の中、当初の目的でもあったコスト削減をしなかった点です。「市が指定した資格を取得したことで、今まで委託していた民間事業者よりも優良と判断。知的障がい者であるとかないとかは関係ない。委託料も下げない。」との市の姿勢には委員全員ちょっとびっくり。多摩市の常識は伊万里の非常識とすぐに気付きました。

ただ、今後、新規参入者が出てきた場合は随意契約でなく競争になってしまうのが悩みのタネ。明日はそのことを少し書きます。

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