地域で、在宅で・・・は、絵空事?

浦安の無届け介護施設報道に思うこと

浦安市の有料介護施設で入所者を柵に入れたり、金具でベッドに拘束していたという報道に、「えっ、まだそんなところが?」と感じた方はいませんか。高齢者虐待防止法以降、こんなことはできなくなっていたと思っていた方も少なくないと思います。無届の施設だったために、外部からの立ち入り検査もされていなかったそうですが、家族が認めていたことにやりきれなさを覚えます。この報道後も家族は、「それでもお願いしたい」と語っています。

26人を4人で
この施設には(50代から80代の26人が入所)、認知症の人と何がしかの障害者が混在していました。いずれも、重度であれば家族には相当の負担がかかっていたと思われますが、自分たちでも面倒見切れない家族を施設に、それも有料とはいえ安い対価でお願いしているのだから、人権だのと贅沢は言えない…ということなのでしょうか。また、26人の世話をわずか4人の職員が交代で行っていたとのこと。在宅当時、その大変さを経験した家族にしてみれば、この人数でお世話してもらうのだから仕方ない…そう思うのも無理ないのかもしれません。入所時に数千万円、毎月何十万円も払い続ける有料介護施設がどんどん増える一方で、有料といっても低額の、こうした施設もまた増えていくと思われます。ですが、無届けではチェックのしようもありません。

「公の仕事」を市民も担う地域での仕事をつくる
国による高齢者・障害者政策は、「地域で」「在宅で」…と号令ばかりをかけてきたように思います。住み慣れた地域で、知っている人たちに囲まれて暮らせるに越したことはありませんが、それを可能にする準備は、まだまだ地域には整っていません。チェック体制やオンブズマン制度が充分機能することも重要です。また、利用者の声を運営に反映できる小さな事業体を地域に増やし、多様なサービスを供給することは、地域での仕事を生み出すことにもつながります。自治体は、高齢者、障害者への支援は「公」の仕事ときちんと位置づけた上で、市民の力を活かしながら、人材の育成や事業者支援など、しっかりとそのバックアップの責任を果たすべきと考えます。